金継ぎしたうつわは電子レンジで使える?食洗機・オーブン・蒸し器についても詳しく解説します。

金継ぎ工房に展示されている修復されたうつわの数々

金継ぎしたうつわの取り扱いについて、「金継ぎ 八花」では以下のようにご案内しています。

  1. 電子レンジ・食洗機・オーブン・蒸し器・直火の使用は控える
  2. 洗う時は柔らかめのスポンジを使う
  3. クレンザーなどの研磨剤や漂白剤の使用は控える
  4. 長時間にわたり水につけたまま、冷蔵庫に入れたまま放置しない

金継ぎというのは、天然の漆を使ってうつわを修復する技術。
そのため、金継ぎを施したあとの取り扱いは漆器と同じだと考えていただければ大丈夫です。

では、なぜこうした使い方は控えたほうがいいのでしょうか?
その理由を詳しくご説明します。

電子レンジ・食洗機・オーブン・蒸し器・直火の使用は控える

● 電子レンジ

金継ぎしたうつわは、表面に金粉などの金属粉を蒔いて仕上げています。
電子レンジでは金属が火花の原因となる場合があるため、「金継ぎ 八花」では使用をおすすめしていません。

● 食洗機

食洗機については、使うとすぐに壊れてしまうということはないと思います。
ただし、継続的な振動や周囲のうつわとの接触、熱湯の高圧水流、そして熱湯洗浄から冷水でのすすぎ、高温での乾燥という急激な温度変化。これはうつわにとって、まさに過酷な環境です。何度も使っていくうちに、接着部分が剥離する可能性があります。

● オーブン・直火

漆は熱に強い素材ではありますが、あくまでも木の樹液が硬化したものです。オーブンや直火などにかけると焦げて急速に劣化します。
そのため、グラタン皿や土鍋などは金継ぎで修復しても、もとの用途で使うことはできません。

● 蒸し器・熱湯

お直しのお客さまや金継ぎ教室の生徒さんが誤って蒸し器に入れたり、煮えたぎった熱湯を注いでしまったことで、修復箇所が傷んだり剥離したりした事例は実際にあります。
その理由のひとつが温度変化。うつわは温度によってわずかに膨張・収縮を繰り返しています。特に熱湯を注いだり、蒸し器の中で高温にさらしたりすると、その変化が大きくなり、修復箇所に負担がかかります。
また、やかんや電気ポットなどで沸かした熱湯を注ぐことも、急激な温度変化によってうつわや修復箇所に負担をかける原因となります。うつわが冷えている冬場には、特に注意が必要です。

洗う時は柔らかめのスポンジを使う

金継ぎしたうつわは、割れた部分を接着したあとの線や欠損部分が金で覆われています。しかし、これはあくまでも表面だけ。欠損部分がすべて金で埋められているわけではありません。
そのため、硬いスポンジなどで力を入れてゴシゴシ洗ってしまうと、表面の金が摩耗して下地の漆が見えてきます。長く美しい状態を保つためには、柔らかいスポンジでやさしく洗うといいでしょう。
なお、中性洗剤は普通に使っていただいて問題ありません。

クレンザーなどの研磨剤や漂白剤の使用は控える

クレンザーなどの研磨剤を使わない理由は、硬いスポンジでゴシゴシ洗わない理由と同じ。研磨されすぎると、表面の金が摩耗してなくなってしまいます。
漂白剤については、漆は酸にもアルカリにも強いと言われています。とは言え、やはり強力な化学薬品は使わないほうが無難です。

長時間にわたり水につけたまま、冷蔵庫に入れたまま放置しない

1〜2時間ほどであれば問題ありませんが、例えば一晩や丸一日ずっと水につけておくのは、漆が剥離する原因になる可能性があります。
冷蔵庫に入れておくことも、急激な温度変化をうつわに与えるということ、水気のあるものを長時間にわたり入れっぱなしにすることになりますので、なるべく避けたほうがいいと思います。

やってはいけないことが多すぎて面倒くさい?

このように書いてしまうと、金継ぎすると非常に制約が多くなるように感じられるかもしれません。
ただ、これらは長く使い続けるためのコツみたいなもの。一度壊れてしまったものは、どうやったって壊れる前よりも頑丈になることはないのです。
そして、きっと大切なものだからこそ金継ぎしようと思われたのでしょうから、直したあとは以前に増して慎重に扱ってほしいものです。
最初は少し面倒くさいと感じるかもしれませんが、それに慣れてくると他のうつわの扱い方も変わってきて、より「丁寧な暮らし」を実践できるようになっているかもしれません。

また、電子レンジのように「火花が出るから危険」というものを除けば、ご説明したようなリスクがあると承知した上で、自己責任でやるぶんには構いません。
実際、飲食店を営まれている金継ぎ教室の生徒さんに、食洗機を使うという方はいらっしゃいます。でも、それは修復した部分の寿命が縮まるリスクを知った上で、業務上の手間と天秤にかけ、もし壊れたらまた直せばいいという判断のもとで使われています。

最後に、もし金継ぎしたうつわを扱うのが自分一人ではないとしたら、そのうつわを使ったり洗ったりするご家族、職場の方などにもこれらの注意点を共有していただければ幸いです。

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