茶の湯や古美術の世界で、はるか昔から連綿と受け継がれてきた金継ぎの技術。茶碗をはじめとした茶道具や向付などの懐石道具、古美術などに似合うのは当然です。
こうしたものを取り扱う場合、私たちは残っているオリジナルの部分を可能な限り残すよう、細心の注意を払います。耐久性や美観を保つために必要だと考えられる最低限の仕事にとどめ、けっしてうつわそのものよりも金継ぎが主張することのないように。
そのほうが仕事量が少なくて簡単だと思われるかもしれませんが、完全に無駄を省いたシンプルな仕事こそ、一切のごまかしが効かないため難易度が高く、神経を使うもの。でも、そこで妥協することはありません。